一度の出撃で同じアイテムは手に入らない。
それが得られるのは同じ宝箱から一度に同じアイテムが出た時だけだ。
〜アジト・冒険者の手記1
入手できるアイテムには『アイテム』と『レアアイテム』の二種類がある。
この二種類は出る確率が違う。
アイテムごとに確率の差はない。確率はこの二種類だけだ。
そしてアイテムの数だけ判定が行われる。レアアイテムを複数持っている敵はそれぞれ判定される。
そのサイコロ判定にはパーティー全員の『運』の要素が絡んでくる。
〜陸繋ぎの橋(冒険者ギルド物語)・優秀な盗賊の手記4
1.はじめに
この記事では、レア倍率と運の値を変化させた時レアアイテムのドロップ率が具体的にどのような値になるかを見積もることを目的としている。
冒頭に示した2つの文書はゲーム内で確認できるものであり、この考察の論拠としている。ただし後者は前作『冒険者ギルド物語』でのみ示されている文書であり、冒険者ギルド物語2ではこの仕様が変更されている可能性があることをご了承いただきたい。
2.結果
いきなり結果から入ろう。
仮定①
1回の戦闘で敵グループを倒した時、各モンスターについて落とす可能性のあるレアアイテムごとにレアドロップ判定が行われ、
またその確率は”レア倍率”と “運勢”のみに依存した値になっている
仮定②
別の戦闘で既にあるアイテムを一つでも入手している場合、そのアイテムは落とす可能性のあるレアアイテムから除外される
仮定①、②が正しいならば、レア倍率と運勢を変えた時のドロップ率は図1のようになっていると見積もられた;
図1
やはりというべきか、運の値を変えずにレア倍率のみを変化させた場合、ドロップ率もおおよそそれに比例して変化しているように見られる。これは問題ないだろう。
問題は運の値のみを変えた場合のレアドロップ率の変化である。
(4)と(6)を比較してほしい。この二つは運の数値だけが違うのだが、推定ドロップ率には1.60%と大きな違いが出ている。仮説検定の考え方によると、99.9%以上の確率で(4)の条件の方がドロップ率は高く、90%以上の確率でドロップ率の差には1%以上の開きがあるとされる。
このことより、運を上げるとドロップ率も有意な大きさで上昇すると結論付けたい。
3.測定方法
興味がないなら読み飛ばしてもらっても構わない。
とりあえずツイートを見てもらうのが早いのでここに添付しておく。
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ツイートが見られない人向け
伝バベで手にはいるレアアイテムのうち、特定のアイテムをリストアップする
αアイテム | 落とす敵が1種類、バベルで単体出現 ex: 含み針(デーモン/12F) |
βアイテム | 落とす敵が1種類、バベルで2体出現 ex: ナイトソード(ゴブリン/7F) |
γアイテム | 落とす敵が2種類、バベルで異なる階層でそれぞれ単体出現 ex: ニュークリアワンド(スペクター/20F、正体不明/34F) |
δアイテム | 落とす敵が2種類、バベルで異なる階層でそれぞれ2体出現 ex: 斬馬刀(暴れ馬/6F、重槍兵/33F) |
εアイテム | 落とす敵が2種類、低層で単体出現、高層で2体出現 ex: 武士の魂(ジェイド/17F、修羅/47F) |
ζアイテム | 落とす敵が2種類、低層で2体出現、高層で単体出現 ex: 白い盾(ドワーフ僧侶/35F、フンババ/36F) |
伝バベを適当な回数踏破し、1回の踏破でのα〜ζの平均獲得数を計測する。レアドロップ率pを仮定するとそれぞれの期待値はpの式で表すことができるため、実際の獲得平均数から逆算してpを推定する
補足条件
伝説のバベルの塔を等倍時間で48Fまで探索、一人でも死亡したら帰還。
探索中にメンバーが死亡したり、プレミアムタイムが変化したりしてレア倍率が変わることがないようにする
罠解除失敗はないものとする。各PTの解錠役の罠解除能力は3500以上なので問題はないだろう
4.ドロップ率の計算式についての考察
ついにナイトソードを手に入れた!
ゴブリンを1000匹倒したかいがあった。
〜スライムの洞窟・冒険者の手記21より抜粋
【行商人の秘密のアイテム入手術】
・運勢10、称号99倍でレアアイテムに必ず称号がつく。
・運勢30、称号69倍でレアアイテムに必ず称号がつく。
・称号付与の倍率は、称号の質には一切関係がない。
〜交易商隊・行商人マニュアル5より抜粋
レアアイテムのドロップ率の基本値は0.1%と囁かれることがある。根拠は言わずもがな上に示した手記である。 これを元に、ドロップ率のモデルを 0.1×(レア倍率)×(運による補正値)% と推測した。
ところで、もう一つの手記を見ると称号の付与率と運の関係について述べられている。 具体例が少なすぎて法則性がつかめないが、例えば運30のパーティーは運10のパーティーよりも称号の付与率が 99/69 = 1.4348倍になっていると解釈することができる。
さて、この1.4348倍という数値であるが、上のモデル式で運=30の時に補正値が1.4348になっていると仮定する。この時、
(3)条件;レア倍率163.6倍 運30.0でのドロップ率は23.5% (実測値22.86±0.81 %)
(9)条件;レア倍率122.7倍 運30.0でのドロップ率は17.6% (実測値17.43±0.92 %)
となる。 (3)条件はちょっと苦しいが、いずれも99%信頼区間の中に含まれている。これは偶然だろうか?
モデル式が正しいと仮定するならば、補正値の式がどのような形になっているかを考える。
運30という切りのいい値に対して、1.4348という値は非常に切りが悪い。わざわざ行商人が手記に残すくらいだし、この時の値も何か意味のある値なんじゃないだろうか。 1.4348 は1.44に近い。1.44は1.2の二乗と切りのいい値である。じゃあ運30の時の補正は1.44じゃないだろうか?
この憶測を元に、運の補正値の従う式についての仮説を提示する。
補正値 | |
運≦15 | 1 |
運>15 | { 1 + (運-15)/75 } ^ 2 ≒ 1+0.027×(運-15) |
モデル式からの理論値を赤いマーカーで図1に重ね合わせた結果を図2に示す。
図2
ひとまずレアドロップ率の計算式についての考察はここまでにしておく。
より良い理論式が見つかったならばぜひ教えてほしい。
5.結び
あくまで今回行ったのはレア倍率、運ともかなり高い条件での測定である。レア倍率がこれよりも低いならばまた別の結果が与えられるかもしれない。わからない点はまだまだ数多い。
しかしながら、運とレアドロップ率の間に少なからぬ影響を見いだすことができたのは大きな収穫である。
今後はさらにデータを増やしていき、モデル式の妥当性についてなど議論を行っていきたい。
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以下 付録
暇でかつ奇特な人以外読む価値はないです
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